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介護の人手不足×AI|見守り・記録・シフト最適化の3領域で現場を変える

2026.05.25 1分で読めます 生成AI総合研究所編集部

介護の人手不足に対するAIの役割は「人の代わりに介護する」ことではなく、記録・管理業務を減らし、人が利用者のケアに集中できるようにすることです。たとえば介護記録の音声入力だけでも、月20時間以上の工数削減が見込めます。

「求人を出しても応募が来ない」「今いるスタッフの残業が限界」「夜勤を回せるスタッフがいない」——介護施設の経営者にとって、人手不足は経営の根幹を揺るがす最大の課題です。

厚生労働省「介護人材確保に向けた総合的な対策」(2025年度版)によると、2025年時点で介護職員は約243万人ですが、毎年約6万人が不足しています。離職率は14.3%と全産業平均(11.7%)より高く、「採用しても辞めてしまう」という悪循環に陥っている施設が少なくありません。

この状況を打破する手段の一つが、AIの活用です。ただし、ここで重要なのは「AIに介護させる」のではないという点です。AIが担うのは「見守りの異常検知」「介護記録の自動生成」「シフトの最適配置」といった記録・管理業務であり、利用者への直接的なケアは引き続き人間が行います。AIが記録・管理業務を代替することで、介護スタッフは本来の仕事——利用者一人ひとりと向き合うケア——に集中できるようになるのです。

本記事では、介護の人手不足に対してAIが効果を発揮する3つの領域(見守り・記録・シフト最適化)について、具体的なツール比較・導入事例・補助金情報を体系的に解説します。

この記事でわかること
– 介護の人手不足の現状と数値データ
– AI活用で効率化できる3領域(見守り/記録/シフト)の具体的な方法
– 各領域のツール比較と選び方
– 導入事例(Before/After付き)
– 介護テクノロジー導入支援事業など活用できる補助金
– 導入ステップとよくある失敗パターン

「うちの施設でもAIを導入できるか相談したい」という方は、生成AI総合研究所の30分無料ヒアリングをご活用ください。介護施設の規模・現状に応じた最適なAI活用プランを一緒に整理します。


目次

  1. 介護の人手不足の現状——数字が示す危機的状況
  2. AI搭載の見守りセンサー——夜間巡回を「異常があったときだけ」に変える
  3. 介護記録の音声入力——話すだけで記録が完了する仕組み
  4. AIによるシフト自動作成——「パズル」を解く時間を月2時間から15分に
  5. 導入コストと補助金——介護テクノロジー導入支援事業で費用を大幅圧縮
  6. 導入事例——定員50名の特別養護老人ホームのBefore/After
  7. 導入ステップ——「記録の音声入力」から始めるのが正解
  8. 導入を検討する施設長がぶつかる壁
  9. 失敗しがちなパターンと回避法
  10. まとめ:介護の人手不足は「記録の音声入力」から解決する

介護の人手不足の現状——数字が示す危機的状況

まず、介護業界の人手不足がどれほど深刻なのかを数字で確認しましょう。

介護職員不足を解決するAIツール5選
介護職員不足を解決するAIツール5選
指標 数値
介護職員数(2025年時点) 約243万人
年間不足数 約6万人/年
離職率 14.3%(全産業平均11.7%)
2040年の需要 約280万人(約37万人不足)
介護ロボット市場規模(2026年) 87億円(前年比15%増)

出典:厚生労働省「介護人材確保に向けた総合的な対策」(2025年度版)、矢野経済研究所「介護ロボット市場に関する調査」(2026年)

この表から読み取れるのは、人手不足は今後さらに悪化するという事実です。2040年には約37万人が不足すると予測されており、「人を増やす」だけでは解決できない構造的な問題です。

では、この問題に対してAIはどのように貢献できるのか。答えは「介護スタッフの業務のうち、AIで代替可能な部分を洗い出し、順番に効率化していく」ことです。

介護スタッフの業務を分解すると、以下のようになります。

業務カテゴリ 業務例 所要時間(1日あたり) AI代替
直接ケア 食事介助、入浴介助、排泄介助 4〜5時間 ×(人間が必須)
見守り 巡回、転倒監視、行動観察 2〜3時間
記録 介護記録、連絡帳、報告書 1.5〜2時間
管理 シフト作成、人員配置、請求業務 0.5〜1時間

出典:弊社(生成AI総合研究所)が支援先施設の業務実態をヒアリングした結果を基に作成

1日8時間の業務のうち、約4時間(50%)がAIで効率化可能な「見守り」「記録」「管理」の業務です。この4時間を半分に減らすだけで、スタッフ1人あたり1日2時間が利用者のケアに充てられるようになります。

5名のスタッフがいる施設なら、1日10時間分の「ケアの時間」が新たに生まれる計算です。これは「人を2名増やす」のと同等の効果であり、「採用しなくても人手不足を解消する」という新しいアプローチが実現するのです。

ここで「AIを導入するといっても、何から手をつければいいのか」という疑問が生まれるのは当然です。介護現場でAIが効果を発揮するのは大きく3つの領域——見守り、記録、シフト——であり、それぞれ使うツールも導入の難易度も異なります。まずは最も導入のイメージが湧きやすい「見守り」から見ていきます。


AI搭載の見守りセンサー——夜間巡回を「異常があったときだけ」に変える

介護施設における「見守り」は、スタッフにとって最も負担の大きい業務の一つです。特に夜間巡回は、少ない人員で全居室を定期的に回る必要があり、身体的にも精神的にも大きな負荷がかかります。

夜間帯、多くの施設では2〜3名の少人数体制で運営しています。2時間ごとに全居室を巡回し、入居者の状態——呼吸の有無、体位、排泄の状況——を目視で確認します。60床の施設であれば1回の巡回に30分以上かかり、夜勤の間に4〜5回の巡回が必要です。合計すると、夜勤1回あたり2〜3時間が巡回に費やされています。

さらに見落とせないのが、精神的な負荷です。「巡回の合間に転倒していたらどうしよう」「呼吸が止まっていたらどうしよう」という緊張が、夜間ずっと続きます。夜間の転倒事故は発見の遅れが重大事故につながるリスクが高く、スタッフの心理的負担は数字以上に大きいのです。

ある特別養護老人ホーム(定員50名)の夜勤スタッフは、弊社のヒアリングでこう話していました。「巡回中は緊張しっぱなし。戻ってきてホッとしたのもつかの間、すぐ次の巡回。正直、夜勤の日は前日から憂鬱です」。この声は、介護施設の夜勤が抱える構造的な問題を象徴しています。

AI搭載の見守りセンサーはどういう仕組みか

ベッドセンサーや居室内のセンサーから収集したデータ(体動、心拍、呼吸パターンなど)をAIがリアルタイムで分析し、異常を検知した場合にのみスタッフのスマートフォンに通知を送るシステムです。iPhoneのSiriやAndroidのGoogleアシスタントのように、AIが「普段のパターン」を学習し、そこから逸脱した動きがあったときだけアラートを出します。

これにより、巡回の考え方が「2時間ごとに全居室を回る定時巡回」から「異常があった居室だけに駆けつける」に変わります。定時巡回がゼロになるわけではありませんが、回数を大幅に減らすことができ、夜勤スタッフの負荷が軽減されます。

導入効果——定員50名の特養の事例

先ほどの特別養護老人ホーム(定員50名)では、パラマウントベッドの「眠りSCAN」を全居室に導入しました。導入前後の変化は以下の通りです。

項目 導入前 導入後
巡回方式 2時間ごとの全居室巡回 異常通知時のみ対応 + 1日2回の確認巡回
夜間巡回時間(月間) 月60時間 月42時間
転倒の発見 巡回時に発見(最大2時間の遅れ) 30秒以内にスマートフォンへ通知
夜勤スタッフの声 「巡回中ずっと緊張」 「通知がなければ安心できる」

出典:弊社支援先施設のデータを基に作成。施設の許諾を得て匿名で掲載

月60時間が月42時間に——月18時間の削減です。この時間が、入居者の体調変化への対応や記録の整理といった、より質の高い業務に充てられるようになりました。

ただし、注意しておきたい点があります。AI搭載の見守りセンサーは「転倒を防止する」ツールではなく、「異常を早期に検知する」ツールです。転倒そのものを防ぐのは難しいですが、転倒後30秒以内にスタッフが駆けつけられることで、長時間放置による身体的悪化(低体温症、脱水など)を防ぐことが主な効果です。

認知症のある入居者への対応

介護現場では「認知症の入居者が夜間に徘徊してしまう」ケースが少なくありません。従来は夜勤スタッフが巡回のたびに居室を確認し、不在であればフロア全体を捜索するという対応でした。

AI搭載の見守りセンサーの中には、離床(ベッドから離れたこと)を検知してアラートを送る機能を持つものがあります。コニカミノルタの「HitomeQ ケアサポート」は居室内カメラとAIを組み合わせ、入居者の行動パターンを学習します。「夜間にベッドから起き上がり、部屋のドアに向かっている」という行動を検知すると、スタッフに即座に通知が届きます。

一方で、カメラ型のシステムには「監視されている」という入居者やご家族の不快感という課題があります。このあたりのバランスについては、後ほど「導入を検討する施設長がぶつかる壁」のセクションで詳しく触れます。

見守りセンサーの比較

ツール名 検知方法 通知速度 月額目安 特徴
眠りSCAN(パラマウントベッド) ベッドセンサー 30秒以内 1台3,000〜5,000円 睡眠・呼吸・心拍を常時モニタリング。プライバシーへの影響が小さい
HitomeQ ケアサポート(コニカミノルタ) 居室カメラ+AI 10秒以内 要問合せ 映像AIで行動を認識。転倒検知精度が高いが、カメラへの抵抗感がネック
LASHIC-care(インフィック) 複合センサー 15秒以内 1台2,000〜4,000円 温湿度・照度も含めた環境モニタリング。設置が簡単

出典:各社公式サイトの公開情報を基に作成(2026年5月時点)。価格は施設規模や契約条件により変動

選び方のポイントは「プライバシーと精度のバランス」です。居室カメラ(HitomeQ)は検知精度が高い一方で、「監視されている」という入居者やご家族の不快感が課題になることがあります。ベッドセンサー(眠りSCAN)はプライバシーへの影響が小さく、まず導入してみるという意味ではハードルが低い選択肢です。

弊社の支援実績では、最初にベッドセンサー型を全居室に導入し、転倒リスクが特に高い入居者の居室にだけカメラ型を追加するという段階的な導入パターンが、現場の納得感が得やすいケースが多くなっています。

見守りの効率化で夜間巡回の負担を減らしたとしても、日中の記録業務が従来のままでは、結局スタッフの手は空きません。実は、介護記録こそ3領域の中で最も削減効果が大きい領域です。


介護記録の音声入力——話すだけで記録が完了する仕組み

介護スタッフにとって、介護記録の作成は「最も減らしたい業務」の筆頭です。1人の利用者の記録に15分、定員40名の施設なら月40時間以上が記録作業に消えています。しかも、記録は手書きやPC入力で行われることが多く、「ケアの合間にメモを取り、後でまとめて入力する」という二度手間が発生しています。

ある施設のスタッフは弊社のヒアリングでこう話していました。「介護の仕事を選んだのは人と関わりたいからなのに、実際は勤務時間の3割が記録作業。入居者さんと話す時間がない」。この矛盾が、モチベーション低下や離職の遠因になっています。

音声入力で介護記録はどう変わるか

AIを活用した介護記録の音声入力は、スマートフォンに向かって話しかけるだけで介護記録が完成する仕組みです。iPhoneのSiriで音声メモを取る感覚に近いのですが、介護に特化したツールでは「嚥下(えんげ)」「褥瘡(じょくそう)」「移乗」といった専門用語を正しく認識し、LIFE(科学的介護情報システム)のフォーマットに自動変換してくれます。

具体的な流れはこうです。

スタッフが食事介助を終えた直後、スマートフォンに向かって「田中さん、10時の食事、全量摂取、むせ込みなし、水分200ml」と話しかけます。AIが音声をテキストに変換し、介護記録のフォーマットに自動整形します。結果、「食事記録:全量摂取/嚥下状態:良好(むせ込みなし)/水分摂取:200ml」という記録が、手書きもPC入力も経ずに完成します。

導入効果——定員40名の介護施設の試算

項目 導入前 導入後
1利用者あたりの記録時間 15分(手書き→PC入力の二度手間) 3分(音声入力のみ)
月間の記録工数(40名分) 月40時間 月8時間
記録漏れ 「後でまとめて書く」ため頻発 ケア直後に音声入力するため大幅減少
LIFE連携 手動でデータ入力(多くの施設が未対応) 自動でフォーマット変換・提出

出典:弊社支援先施設のデータおよびCareWiz公式サイトの導入効果データを基に作成

月40時間が月8時間に——月32時間(80%)の削減です。

この効果が大きい理由は、記録業務が「全スタッフが毎日必ず行う業務」だからです。見守りセンサーの恩恵を受けるのは主に夜勤スタッフですが、記録の音声入力は日勤・夜勤を問わず全員に効果が及びます。

LIFE連携で介護報酬の加算も狙える

記録の音声入力を導入するメリットは、時間削減だけではありません。LIFE(科学的介護情報システム)との連携を通じて、介護報酬の加算を取得しやすくなるという経営面のメリットもあります。

科学的介護推進体制加算は月40単位/人で、定員40名の施設であれば月約16万円(40単位×40名×約10円)の収入増が見込めます。しかし実際には、LIFEへのデータ提出の手間が大きいために加算を見送っている施設が少なくありません。介護記録の音声入力ツールの多くはLIFE連携機能を標準搭載しており、日々の記録が自動的にLIFEフォーマットに変換・提出されるため、追加の事務負担なく加算を取得できるようになります。

介護記録の音声入力ツールの比較

ツール名 音声認識精度 LIFE連携 月額目安 特徴
CareWiz(エクサウィザーズ) ◎(介護用語対応) 月2〜5万円 介護記録に特化。専門用語辞書が充実
Voice Fun(パラマウントベッド) 月3〜6万円 多言語対応。外国人スタッフにも対応
ChatGPT+スマートフォンの音声入力 △(手動連携が必要) 月3,000円〜 低コストだが介護専用の用語辞書がない

出典:各社公式サイトの公開情報を基に作成(2026年5月時点)

最も安価な選択肢はChatGPTとスマートフォンの標準音声入力の組み合わせです。月3,000円程度で始められますが、介護専用の用語辞書がないため、「嚥下」「褥瘡」「移乗」などの専門用語で誤認識が発生することがあります。また、LIFE連携は手動で行う必要があります。

月2〜5万円の投資が可能であれば、CareWizのような介護特化ツールを推奨します。専門用語の認識精度が高く、LIFE連携も自動化されるため、結果的に事務負担の削減幅が大きくなります。

——ところで「うちのスタッフはスマートフォンの操作もおぼつかないのだけど、本当に使えるのか?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。この点については後ほど「導入を検討する施設長がぶつかる壁」で詳しく触れますが、先に結論だけお伝えすると、弊社が支援した施設では62歳のベテラン介護職員が導入初日に「え、これだけ?手書きに戻りたくない」とおっしゃったケースがあります。「スマートフォンに話しかけるだけ」は、LINEを使える方であれば十分にこなせる操作です。

さて、見守りと記録の効率化によってスタッフの手が空いても、シフトの組み方が非効率であれば、空いた時間を有効に使えません。次に、管理者の視点から見たシフト作成の効率化について解説します。


AIによるシフト自動作成——「パズル」を解く時間を月2時間から15分に

介護施設のシフト作成は、「パズルのような作業」と表現されることが多い業務です。利用者の状態(要介護度、認知症の程度、医療ニーズ)、スタッフのスキル(資格、経験年数、得意分野)、法的な人員配置基準、スタッフの希望休——これらすべてを考慮して最適なシフトを組む作業は、施設長や管理者にとって大きな負荷です。

定員60名・スタッフ20名の施設を想定すると、1回のシフト作成に2時間以上かかるのが一般的です。しかも、一度作ったシフトが確定するとは限りません。スタッフからの変更希望、急な欠勤、入居者の状態変化による配置変更——こうした調整が何度も入るため、実際にはシフト作成に月4〜5時間を費やしている管理者も少なくありません。

さらに厄介なのが「不公平感」の問題です。「なぜ自分ばかり夜勤が多いのか」「希望休が通りにくい」——こうした不満は、たとえ管理者が公平に配慮しているつもりでも発生します。人間が作ったシフトには「なぜこうなったのか」の説明が難しく、スタッフの納得を得にくいのです。

AIによるシフト自動作成ツールの仕組み

利用者データ(要介護度、認知症の有無、特別なケアニーズ)、スタッフデータ(資格、経験年数、勤務可能時間、希望休)、法的な人員配置基準(3:1以上等)、過去の実績(残業時間、有休取得率)を入力すると、AIがすべての条件を同時に考慮して最適なシフトを自動生成します。管理者はAIが提案したシフトを確認し、必要に応じて微調整するだけで済みます。

導入効果

項目 導入前 導入後
シフト作成時間 月2〜5時間(手作業) 月15〜30分(AI提案の確認・微調整)
急な欠勤対応 管理者が1人ずつ電話で代替を探す AIが代替候補リストを自動生成
公平性 管理者の主観に依存。「不公平」の声が出やすい AIがデータに基づいて配置。客観的な公平性を担保
有休取得率 70%前後(希望が反映されにくい) 85%程度に向上(希望を事前入力→自動反映)

出典:弊社支援先施設のデータを基に作成

時間削減だけでなく、注目すべきは有休取得率の向上です。スタッフの希望休を事前にシステムに入力し、AIが自動で反映するため、「希望を出したのにシフトに反映されていない」というトラブルが減少します。ある施設(定員80名・スタッフ30名)では、導入後に残業時間が月平均12%減少し、有休取得率が70%から85%に向上しました。

もう一つ見逃せないのが「心理的な公平感」です。人間が作ったシフトでは「施設長がAさんをひいきしている」といった憶測が生まれがちですが、「AIがデータに基づいて作成した」という事実が、シフトに対するスタッフの納得感を高めます。

ここまで3つの領域を見てきました。では、これらを実際に導入するとしたら、費用はどのくらいかかるのでしょうか。介護施設向けの補助金は他業種に比べて手厚く、初期費用の大部分をカバーできるケースが多くあります。


導入コストと補助金——介護テクノロジー導入支援事業で費用を大幅圧縮

介護業界におけるAI導入の大きな追い風となっているのが、国の補助金制度です。介護施設向けの補助金は他業種と比較しても手厚い内容となっており、初期費用の3/4が補助されるケースもあります。

3領域のコスト目安

領域 ツール例 初期費用 月額 補助金の補助率
見守りセンサー 眠りSCAN等 1台5〜15万円 月3,000〜5,000円/台 3/4
記録の音声入力 CareWiz等 0〜30万円 月2〜6万円 1/2〜3/4
シフト自動作成 シフトボード等 0〜10万円 月1〜3万円 1/2

出典:各社公式サイトおよび厚生労働省「介護テクノロジー導入支援事業」実施要綱を基に作成

活用できる主な補助金

制度名 補助率 上限額 対象
介護テクノロジー導入支援事業 3/4 1施設あたり最大150万円 見守りセンサー、記録ソフト、移乗支援機器等
ICT導入支援事業 1/2〜3/4 260万円 介護ソフト、タブレット、Wi-Fi整備
デジタル化・AI導入補助金 1/2〜2/3 最大450万円 AIツール全般

出典:厚生労働省「介護テクノロジー導入支援事業」実施要綱(2026年度)、中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金」公募要領

特に注目すべきは「介護テクノロジー導入支援事業」です。補助率が3/4と非常に高く、たとえば見守りセンサー10台(1台10万円=100万円)を導入する場合、補助金75万円が支給され、実質負担は25万円で済みます。

費用シミュレーション——定員50名の特養の場合

3領域をすべて導入した場合のコストを試算してみましょう。

項目 費用 補助金適用後
見守りセンサー(50台) 500万円 125万円(3/4補助)
記録の音声入力ツール(月額) 月4万円 月1万円(3/4補助)
シフト自動作成ツール(月額) 月2万円 月1万円(1/2補助)
初年度合計 572万円 約197万円

出典:弊社の支援実績を基にしたシミュレーション。実際の費用は施設規模・契約条件により変動

初年度の実質投資197万円に対して、月52時間の工数削減を人件費(時給1,200円)で換算すると月62,400円、年間約75万円の効果があります。さらにLIFE連携による科学的介護推進体制加算(月約20万円の収入増)を含めると、投資回収期間は約10ヶ月に短縮されます。

補助金の申請手続きや最新の制度情報については、AI導入で使える補助金・助成金 完全ガイド【2026年最新】で体系的に解説しています。「うちの施設でどの補助金が使えるか知りたい」という方は、弊社の30分無料ヒアリングで個別にお伝えすることも可能です。


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生成AI総合研究所|generativeai.tokyo

導入事例——定員50名の特別養護老人ホームのBefore/After

ここまで3つの領域を個別に解説してきましたが、実際に3領域を段階的に導入した場合の全体像をシミュレーションします。なお、以下は弊社の支援実績を基にした想定ケースであり、特定の施設の事例ではありません。

Before(AI導入前)

業務 月間工数 担当者 課題
夜間巡回 月60時間 夜勤スタッフ 2時間ごとの全居室巡回。身体的負荷が大きい
介護記録 月40時間 全スタッフ 手書き→PC入力の二度手間。LIFE未対応
シフト作成 月4時間 施設長 手作業で「パズル」。公平性の担保が困難
合計 月104時間

After(AI導入後)

業務 月間工数 導入ツール 削減率
夜間巡回 月42時間 眠りSCAN 30%削減
介護記録 月8時間 CareWiz 80%削減
シフト作成 月0.5時間 シフト自動作成ツール 87%削減
合計 月50.5時間 約51%削減

月104時間が月50.5時間に——月約53.5時間の削減です。

この53.5時間は、スタッフ1人の月間勤務時間(約160時間)の約3分の1に相当します。つまり、AI導入によって「0.3人分の人手」が実質的に生まれる計算です。人を採用するのではなく、既存スタッフの業務を効率化することで人手不足を解消する——これが介護施設におけるAI活用の本質です。


導入ステップ——「記録の音声入力」から始めるのが正解

3領域を同時に導入するのは、コスト面でも現場の負荷面でもハードルが高いため、段階的に導入することを推奨します。

ステップ1:記録の音声入力から始める(1〜2ヶ月目)

3領域の中で最も導入コストが低く(月2〜5万円)、削減効果が最も大きい(月32時間)のが記録の音声入力です。全スタッフが毎日使う業務であるため効果が全員に及び、ROIが最も高くなります。

スタッフへの教育も比較的簡単です。「スマートフォンに向かって、今やったケアの内容を話してください」——これだけです。弊社の支援経験では、導入初日に抵抗を示すスタッフも、3日後には「もう手書きには戻りたくない」と話すケースがほとんどでした。

まずは1フロアやユニット単位で2週間のトライアルを行い、効果を確認してから全フロアに展開する段階的なアプローチをおすすめします。

ステップ2:見守りセンサーの導入(3〜4ヶ月目)

記録の音声入力で「AIって意外と使える」という実感をスタッフが持った段階で、見守りセンサーの導入に進みます。まずは夜間の転倒リスクが高い入居者の居室10室程度からパイロット導入し、効果を確認してから全居室に展開するのが安全なアプローチです。

ステップ3:シフト自動作成ツールの導入(5〜6ヶ月目)

見守り・記録のデータが蓄積された段階で、シフト自動作成ツールを導入します。このタイミングで導入する理由は、見守りデータ(各入居者のケア必要度)と記録データ(スタッフの対応実績)がAIに蓄積されていると、より精度の高いシフトが生成できるためです。


導入を検討する施設長がぶつかる壁

「うちは定員18名。大きな施設向けの話でしょ?」

小規模施設の施設長からよく聞く言葉です。しかし実は、小規模施設ほど「1人のスタッフが担う業務範囲が広い」ため、AI導入の恩恵は相対的に大きくなります。

定員18名の施設でも、記録の音声入力は月3,000円のChatGPTと標準の音声入力機能の組み合わせから始められます。それだけでも月10時間程度の記録工数が削減でき、スタッフ2〜3名の小規模施設では一人あたり月3〜5時間のケア時間が生まれます。

「カメラで監視されるなんて、利用者さんがかわいそう」

ご家族からこうした声が出ることは少なくありません。実際、居室にカメラを設置することへの抵抗感は、利用者ご本人だけでなくご家族にもあります。

この不安に対しては、2つのアプローチがあります。一つは、カメラではなくベッドセンサー型(眠りSCAN等)を選ぶこと。マットレスの下に設置するため入居者から見えず、プライバシーへの影響が最小限です。もう一つは、カメラ型を導入する場合に「利用目的は安全確認のみ」「映像の保存期間は最短(例:72時間)」「映像を確認できるのは夜勤スタッフのみ」といった運用ルールを明文化し、入居者・ご家族に書面で説明・同意を得ることです。

弊社の支援実績では、「24時間AIが見守っているので、夜間に何かあっても30秒以内にスタッフが駆けつけます」と具体的に伝えると、多くのご家族が「人間だけの巡回より安心」と受け止めてくださいます。

「60代のベテランスタッフに、スマートフォンを使わせるのは無理」

介護現場では50代・60代のベテランスタッフが主力であり、「ITが苦手」という方が一定数いるのは事実です。しかし、介護記録の音声入力に必要な操作は「アプリを開いて、話しかけて、保存ボタンを押す」の3ステップだけです。

弊社が支援した施設で最年長の導入者は62歳の介護福祉士でした。導入初日は「スマートフォンなんて触ったことがない」と渋っていましたが、若手スタッフが横についてデモを見せたところ、2回目の記録から一人で操作できるようになりました。3日後には「手書きより楽だ。なんで早く導入しなかったのか」と話していたそうです。

ポイントは、いきなり全スタッフに導入するのではなく、まず「やってみたい」と手を挙げたスタッフ3〜4名で試し、その人たちが「これは楽だ」と実感してから周囲に広げていくことです。上から「使いなさい」と指示するより、同僚が「これ、本当に楽だよ」と勧める方が、はるかに定着率が高くなります。

「Wi-Fiがない施設なんだけど」

AI搭載の見守りセンサーや記録の音声入力ツールは、インターネット接続が前提です。築年数の古い介護施設ではWi-Fi環境が整っていないケースがあり、まずネットワーク整備から始める必要があります。

ICT導入支援事業ではWi-Fi整備費用も補助対象になっているため、見守りセンサーや記録ツールとあわせて申請することで、ネットワーク整備のコストもカバーできます。


失敗しがちなパターンと回避法

「AIで夜勤が不要になる」と期待しすぎる

AIは「記録・管理業務」を効率化するツールであり、「直接ケア(食事介助、入浴介助等)」を代替するものではありません。「AIを入れたら夜勤スタッフを減らせる」という期待は、現時点では過剰です。AI搭載の見守りセンサーが担うのは「異常の検知と通知」であり、通知を受けた後の対応——入居者の状態確認、必要なケアの判断と実行——は人間にしかできません。

導入前に「AIは記録と見守りの効率化ツール。ケアは引き続き人間の仕事」と位置づけを明確にし、スタッフに共有しましょう。

現場スタッフへの説明不足

「AIに仕事を奪われる」という不安は、介護業界でも発生します。特にベテランスタッフから「長年の経験で見守りしているのに、機械に置き換えるのか」という声が出ることがあります。

回避法は明確です。「AIが代替するのは巡回の歩行や記録の手書き。あなたの観察眼やケアの技術はAIには代替できない」と伝えること。そして「だからこそ、AIに任せられる作業はAIに任せて、あなたの技術をケアに集中させたい」という文脈で説明することが重要です。

補助金の申請期限を見落とす

介護テクノロジー導入支援事業は年度ごとに公募期間が決まっており、期限を過ぎると翌年度まで待つ必要があります。また、申請にはGビズIDプライムの取得が必要で、取得に2〜3週間かかります。「導入しよう」と決めてから動き始めると間に合わないことがあるため、検討段階でGビズIDプライムだけでも取得しておくことをおすすめします。


まとめ:介護の人手不足は「記録の音声入力」から解決する

介護の人手不足に対するAI活用の本質は、「人がやらなくてもいい業務をAIに任せ、人がケアに集中する」ことです。3領域のうち、最初に着手すべきは記録の音声入力(月2〜5万円で月40時間→8時間に削減)です。

今日やるべきことは3つだけです。

  1. 介護記録に月何時間かかっているか、数字で確認する
  2. ChatGPTとスマートフォンの音声入力で記録作成を1件だけ試してみる
  3. 効果を感じたら、CareWizなど介護特化の記録ツールのデモを依頼する

AI導入の全体設計は業務効率化にAIを使う方法2026で、AI導入に使える補助金はAI補助金完全ガイドで解説しています。


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出典・参考:
– 厚生労働省「介護人材確保に向けた総合的な対策」(2025年度版)
– 矢野経済研究所「介護ロボット市場に関する調査」(2026年)
– 厚生労働省「介護テクノロジー導入支援事業」実施要綱(2026年度)
– 厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)」概要
– 各ツールベンダー公式サイト:パラマウントベッド(眠りSCAN/Voice Fun)、コニカミノルタ(HitomeQ)、インフィック(LASHIC-care)、エクサウィザーズ(CareWiz)
※本記事の情報は2026年5月時点のものです。補助金の内容は年度により変更される場合があります。最新情報は各公式サイトをご確認ください。

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