自社のAI活用レベルは5段階のどこにあるのか——この問いに明確に答えられる企業は多くありません。5段階×5軸の成熟度モデルと20問の自己診断シートで、自社の現在地と「次にやるべきこと」を可視化するのが、本記事の目的です。
「うちの会社はAIをどの程度使えているのか」「同業他社と比べてどうなのか」「次に何をすべきなのか」——AI導入を推進する経営者やDX担当者にとって、この3つの問いは常に頭にあるものです。しかし、客観的に自社の現在地を把握する方法がなければ、「なんとなく進んでいる気がする」という曖昧な感覚で判断するしかありません。
中小企業基盤整備機構「中小企業のAI導入・活用状況調査」(2026年3月)によると、中小企業のAI導入率は20.4%ですが、そのうち「全社的にAIを活用している」と回答した企業はわずか3.2%です。つまり、AIを導入した企業の大多数が「一部の社員が個人的に使っている」程度の段階にとどまっており、組織としてのAI活用は進んでいないのが実態です。
生成AI総合研究所では、支援先企業の知見を基に「AI活用成熟度診断シート」を開発しました。20問に回答するだけで、自社のAI活用レベルが5段階で判定され、各レベルに応じた「次の一歩」が明確になります。本記事では、この診断の背景にある5段階×5軸のフレームワーク、業界別のベンチマークデータ、そしてレベルごとの具体的なアクションガイドを体系的に解説します。
この記事でわかること
– AI活用成熟度の5段階モデル(Lv1未着手〜Lv5 AI経営)の詳細
– 5軸の評価基準(戦略/データ基盤/組織・人材/技術/ガバナンス)
– 20問の自己診断シートによる自社レベルの判定方法
– 各レベルからの「次の一歩」アクションガイド
– 中小企業特化の簡易診断(5問で判定)
– 業界別ベンチマーク(IT/製造/サービス業の平均スコア)
– 「うちはLv3だと思っていたが実はLv1だった」失敗パターン
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なぜ「成熟度診断」が必要なのか——自己認識のギャップという問題
AI活用成熟度診断が必要な最大の理由は、多くの企業で「自己認識と実態にギャップがある」からです。
弊社の支援経験では、初回相談時に「うちはLv3(部分活用)くらいかと思います」と自己申告される企業の約8割が、実際にはLv1(未着手)〜Lv2(個人利用)の段階にあります。このギャップは、AI活用の「範囲」と「深度」が混同されることで生じます。
典型的な例を挙げましょう。ある製造業(従業員80名)の社長は「うちはAIをかなり使っている」と自信を持っていました。しかし実態を確認すると、AIを使っているのは社長本人と経営企画の担当者1名の計2名だけでした。社長はChatGPTで市場分析や提案書の下書きを作っており、確かに「使いこなしている」レベルです。しかし、組織として見れば80名中2名、わずか2.5%しかAIを活用していません。
「社長が使っているからLv3」は間違いです。組織として活用できているかどうかが、成熟度を測る基準です。個人レベルのAI活用は、その個人が異動や退職をすればゼロに戻ります。組織として根づいたAI活用は、人が入れ替わっても継続します。この違いが、成熟度モデルの核心です。
もう一つの問題は、「次に何をすべきか」が見えないことです。AI活用が個人レベルにとどまっている企業が、いきなり「全社AI戦略」を策定しようとしても、現場がついてきません。逆に、すでに部分的にAIを活用している企業が「まずChatGPTを試しましょう」と言われても、「それはもうやっている」となります。自社のレベルに応じた適切なアクションを取るために、客観的な診断が不可欠なのです。
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AI活用成熟度の5段階モデル——各レベルの特徴と典型的な企業像
弊社が開発した5段階の成熟度モデルは、以下のように構成されています。
| レベル | 名称 | 状態 | 典型的な企業像 | 中小企業の割合(推定) |
|---|---|---|---|---|
| Lv1 | 未着手 | AIツールを使っている社員がいない | 「AIは大企業のもの」と思っている | 約45% |
| Lv2 | 個人利用 | 一部の社員が個人的にAIを使っている | 社長や若手がChatGPTを使っている | 約35% |
| Lv3 | 部分活用 | 特定の業務でAIが組織的に活用されている | 見積作成や議事録でAIを業務フローに組み込んでいる | 約12% |
| Lv4 | 全社展開 | 全社的にAI活用が進み、ガイドラインも整備 | 全部門でAIを活用、社内ルール・教育体制も整備 | 約5% |
| Lv5 | AI経営 | 経営の意思決定にAIが組み込まれている | AIによる需要予測やデータドリブン経営を実践 | 約3% |
出典:生成AI総合研究所が支援先企業の分析と中小企業基盤整備機構「中小企業のAI導入・活用状況調査」(2026年3月)を基に分類
この表から明らかなのは、中小企業の約80%がLv1〜Lv2にとどまっているという現実です。そして、Lv2→Lv3の壁が最も高い。個人的にAIを使っている段階から、組織的に業務フローに組み込む段階への移行が、中小企業にとって最大のハードルです。
各レベルの詳細解説
Lv1:未着手——「AIは大企業のもの」フェーズ
このレベルの企業では、AIツールを業務に使っている社員が一人もいません。「AIは最先端の技術であり、うちのような中小企業には関係ない」という認識が社内に広がっています。
Lv1にとどまる企業に共通する3つの特徴があります。第一に、「AIは難しい」「プログラミングが必要」という技術的な誤解。第二に、「AIを入れると社員の仕事がなくなるのでは」という雇用への不安。第三に、「うちのような業種にAIは使えない」という適用範囲の誤解です。
弊社の経験では、Lv1の企業に対しては「まず1人だけ、ChatGPTの無料版を1週間使ってみてください」と提案するのが最も効果的です。1人が「使える」と実感すれば、そこから広がっていきます。
Lv2:個人利用——「社長だけが使っている」フェーズ
このレベルの企業では、社長や若手社員など、AIに感度の高い個人が自発的にChatGPTなどを使い始めています。しかし、使い方は個人に閉じており、組織としての活用にはなっていません。
Lv2の典型的な症状は「社長は便利だと言っているが、現場は使い方がわからない」です。社長がChatGPTで提案書の下書きを作っていても、それを現場に教育する仕組みがなければ、組織としてのAI活用は進みません。社長の「これ便利だよ」だけでは、現場は動かないのです。
弊社が支援した金属加工メーカー(従業員25名)は、典型的なLv2の企業でした。社長がChatGPTを個人的に使っていましたが、現場のスタッフは「そういうの、よくわからないんで」と距離を置いていました。人材開発支援助成金を活用した個別ハンズオン研修を実施し、各スタッフが「自分の業務でChatGPTを使ってみる」体験をしたことで、Lv3への移行が始まりました。
Lv3:部分活用——「特定の業務でAIが定着している」フェーズ
このレベルの企業では、見積作成、議事録、メール対応など、特定の業務でAIが組織的に活用されています。「この業務はAIを使って行う」という業務フローが定義され、担当者が変わってもAI活用が継続する状態です。
Lv3の特徴は、AI活用が「個人の習慣」ではなく「組織のルール」になっていることです。「見積の下書きはまずChatGPTに作らせてから修正する」というフローが確立し、新入社員にもそのフローが引き継がれる。これがLv2とLv3の決定的な違いです。
ただし、Lv3はあくまで「部分的」です。特定の1〜2業務ではAIが活用されていても、他の業務は従来通りの手作業で行われています。全社的なAI活用にはまだ距離があります。
Lv4:全社展開——「全部門でAIが日常的に使われている」フェーズ
このレベルの企業では、営業・製造・管理・経営企画など全部門でAIが日常的に活用されています。AI活用のガイドライン(セキュリティルール、データの取扱いルールなど)も整備され、教育体制も確立されています。
Lv4の企業は、AI活用によって明確な競争優位を構築し始めています。同業他社よりも業務効率が高く、対応スピードが速く、コストが低い。この差は時間の経過とともに拡大し、Lv1〜2の競合企業が追いつくことがますます難しくなります。
Lv5:AI経営——「経営の意思決定にAIが組み込まれている」フェーズ
このレベルの企業では、需要予測、在庫最適化、価格設定、投資判断など、経営の意思決定にAIが組み込まれています。データドリブン経営が実践され、「勘と経験」ではなく「データとAI」に基づいた判断が組織文化として定着しています。
現時点でLv5に到達している中小企業は極めて少数(推定3%程度)ですが、AI技術の進化とコスト低下により、今後3〜5年で到達可能な領域になると考えられています。

5軸の評価基準——何を、どう評価するか
5段階のレベルを判定するために、弊社では5つの評価軸を設定しています。
| 評価軸 | 評価内容 | Lv1の状態 | Lv5の状態 |
|---|---|---|---|
| ①戦略 | AI活用が経営戦略に位置づけられているか | AI戦略なし | 中期計画にAI戦略が統合 |
| ②データ基盤 | AIを活用するためのデータが整備されているか | データが紙/散在 | データが一元管理・自動連携 |
| ③組織・人材 | AI活用を推進できる人材・体制があるか | AI担当者なし | 全社員がAIリテラシーを保有 |
| ④技術 | 適切なAIツール・プラットフォームが導入されているか | ツール未導入 | 業務別に最適なAIツールを選定・運用 |
| ⑤ガバナンス | AI活用のルール・リスク管理が整備されているか | ルールなし | セキュリティ・倫理ガイドライン整備 |
出典:生成AI総合研究所が開発したAI活用成熟度フレームワーク
5軸それぞれについて1〜5点で評価し、合計25点満点のスコアで総合的なレベルを判定します。各軸をレーダーチャートで可視化すると、「戦略は進んでいるがデータ基盤が弱い」「技術は導入済みだが組織の理解が追いついていない」といった偏りが一目でわかります。
弊社の支援先企業で最もスコアが低い傾向にあるのが、②データ基盤と⑤ガバナンスです。多くの中小企業は「まずツールを入れる」(④技術)から始めますが、データが紙ベースで散在している状態(②データ基盤が低い)では、AIの効果が限定的になります。また、「ChatGPTに機密情報を入力してはいけない」というルール(⑤ガバナンス)が未整備のまま利用が広がると、情報漏洩リスクが高まります。
この5軸の評価を、20問の自己診断シートで簡便に実施できるようにしたのが、次のセクションで紹介する診断ツールです。
20問の自己診断シート——自社のレベルを10分で判定
20問の自己診断シートは、5軸×4問で構成されています。各問に対して1〜5点で回答し、合計点でレベルを判定します。
評価基準
- 1点:該当しない / 全くできていない
- 2点:一部該当 / 始めたばかり
- 3点:概ね該当 / 取り組んでいるが不十分
- 4点:ほぼ該当 / かなり進んでいる
- 5点:完全に該当 / 十分にできている
戦略軸(4問)
Q1. AI活用の方針(何のためにAIを使うか)が文書化されているか。
Q2. AI活用の目標(KPI)が設定されているか。
Q3. AI活用の予算が確保されているか。
Q4. AI活用のロードマップ(半年〜1年の計画)があるか。
データ基盤軸(4問)
Q5. 業務データ(売上、工数、品質データ等)がデジタル化されているか。
Q6. データが一元管理されているか(散在していないか)。
Q7. AIに学習させるためのデータ量が十分にあるか。
Q8. データの品質管理(欠損値の処理、フォーマット統一等)ができているか。
組織・人材軸(4問)
Q9. 社内でAIツールを日常的に使っている社員は全体の何%か(10%以下=1点、11-30%=2点、31-50%=3点、51-80%=4点、81-100%=5点)。
Q10. AI活用の推進担当者(専任または兼任)が指名されているか。
Q11. AI活用に関する社内研修が実施されたことがあるか。
Q12. 経営層がAI活用の意義を理解し、推進を支持しているか。
技術軸(4問)
Q13. 業務で利用しているAIツールの種類は何個か(0個=1点、1個=2点、2-3個=3点、4-5個=4点、6個以上=5点)。
Q14. AIツールが業務フローに組み込まれているか(個人の判断ではなく、組織のルールとして)。
Q15. AIツールの効果を測定する仕組みがあるか。
Q16. AIツールのセットアップ・運用を社内で行えるか(外部依存でないか)。
ガバナンス軸(4問)
Q17. AI活用のセキュリティルール(機密情報の取扱い等)が文書化されているか。
Q18. AIが生成した成果物の品質チェック体制(人間によるレビュー)があるか。
Q19. AIの利用ログが記録・管理されているか。
Q20. AI活用に関する社内ガイドライン(利用ポリシー)があるか。
スコアの判定基準
| 合計点 | レベル | 状態 |
|---|---|---|
| 20〜35点 | Lv1:未着手 | AIの活用がほぼ始まっていない |
| 36〜50点 | Lv2:個人利用 | 一部の個人がAIを使っているが組織化されていない |
| 51〜65点 | Lv3:部分活用 | 特定の業務でAIが組織的に活用されている |
| 66〜80点 | Lv4:全社展開 | 全社的にAIが活用され、ルールも整備されている |
| 81〜100点 | Lv5:AI経営 | 経営の意思決定にAIが組み込まれている |
出典:生成AI総合研究所が開発した診断基準
診断のポイント——正直に採点する
弊社の経験上、自己診断では「実態よりも高く評価してしまう」傾向があります。たとえばQ9「社内でAIツールを日常的に使っている社員は何%か」に対して、「社長が使っているから20%くらい」と答えてしまうケースです。しかし、「日常的に」とは「週3回以上、業務でAIを使っている」レベルを指します。月に1回使う程度は「日常的」には含まれません。
正直に採点するコツは、「証拠があるかどうか」で判断することです。「AI活用の方針が文書化されているか」に対して「社長の頭の中にはある」は1点です。実際に文書化されていなければ、「ある」とは言えません。
各レベルからの「次の一歩」アクションガイド
診断結果が出たら、自社のレベルに応じた具体的なアクションを実行します。
Lv1→Lv2へ:「まず1人だけ、ChatGPTを使ってみる」
Lv1の企業に必要なのは、「AIを体験する」ことです。理論を学ぶよりも、実際に触ってみることが最も効果的です。
具体的なアクション:
- 社内で最もAIに興味がある1人を選ぶ(社長自身でもOK)
- ChatGPTの無料版でアカウントを作成する(5分)
- 日常業務で1つだけ試してみる(例:「取引先へのお礼メールの下書きを作って」とChatGPTに頼む)
- 1週間使い続けて、「これは使える」と感じた場面を3つ記録する
このステップに必要な費用はゼロ、時間は1日30分程度です。1人が「これは使える」と実感すれば、次のステップへの推進力が生まれます。
Lv2→Lv3へ:「個別ハンズオン研修で組織化する」
Lv2→Lv3の壁が最も高い理由は、「個人の利用」を「組織の業務フロー」に変える必要があるからです。社長がChatGPTを使いこなしていても、現場のスタッフが使えなければ、組織としてのAI活用にはなりません。
具体的なアクション:
- 人材開発支援助成金を活用してAI研修を実施(経費75%助成)
- 研修は「集合研修」ではなく「個別ハンズオン」。各スタッフが自分の業務でAIを使う体験をする
- 研修後、「この業務はAIを使って行う」という業務フローを1つ定義する
- 2週間のトライアル期間を設け、効果を測定する
弊社が支援した金属加工メーカーでは、研修後に社員側から「次はいつやるんですか」と自発的な要望が出るようになりました。「やらされている」感覚から「自分ごと」に変わった瞬間です。この転換がLv3への移行の鍵です。
Lv3→Lv4へ:「全社ガイドラインの策定と横展開」
Lv3の企業は、特定の業務ではAIが活用されていますが、他の業務や部門には広がっていない状態です。Lv4への移行には、成功事例の横展開とガバナンスの整備が必要です。
具体的なアクション:
- 成功している業務のKPIデータを全社に共有する(「見積作成が月30時間→5時間に」等)
- 他部門の業務を棚卸しし、AI活用の候補をリストアップする
- AI活用ガイドライン(機密情報の取扱い、品質チェック体制等)を策定する
- 全社研修を実施し、AI活用率を50%以上に引き上げる
Lv4→Lv5へ:「経営の意思決定にAIを組み込む」
Lv5への移行は、現時点では一部の先進企業のみが到達している段階です。AIによる需要予測、データドリブンな在庫管理、AIを活用した経営ダッシュボードの構築など、経営判断の根幹にAIを据えるステップです。
この段階では、フラクショナルCAIOや専門コンサルタントの支援を受けながら、AI戦略を中期経営計画に組み込むことが有効です。詳しくはAI戦略を事業計画に組み込む方法で解説しています。
中小企業特化の簡易診断——「まず5問」で概算レベルを判定
20問の診断が負担に感じる場合は、以下の5問で概算レベルを判定できます。
Q1. 社内でAIツール(ChatGPT等)を使っている社員はいますか?
→ いない(Lv1)/ 1〜数名(Lv2)/ 特定部門で使用(Lv3)/ 全社で使用(Lv4〜5)
Q2. AI活用の予算は確保されていますか?
→ なし(Lv1-2)/ 検討中(Lv2-3)/ 確保済み(Lv3以上)
Q3. AI活用のルール(セキュリティポリシー等)はありますか?
→ なし(Lv1-3)/ 口頭ルールあり(Lv3)/ 文書化(Lv4以上)
Q4. AIで効率化された業務のKPIを測定していますか?
→ していない(Lv1-2)/ 部分的(Lv3)/ 定期的に(Lv4以上)
Q5. 経営会議でAI活用の進捗が報告されていますか?
→ されていない(Lv1-3)/ 不定期(Lv3-4)/ 定期報告(Lv4以上)
この5問の回答パターンから、大まかなレベル感をつかむことができます。正確な診断は20問版で行いますが、「自社がLv1-2なのかLv3以上なのか」の判断は、この5問で十分可能です。
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業界別ベンチマーク——同業他社と比較する
自社のスコアがわかっても、「これは高いのか低いのか」がわからなければ判断材料になりません。ここでは、弊社の支援実績と公開データを基にした業界別のベンチマーク(平均スコア)を提示します。
| 業界 | 平均レベル | 平均スコア(100点中) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| IT・ソフトウェア | Lv3.2 | 58点 | 技術軸が高く、戦略軸が低い傾向 |
| 製造業 | Lv2.1 | 42点 | データ基盤は比較的整備、組織の理解が課題 |
| 建設業 | Lv1.8 | 36点 | 紙文化が根強く、データ基盤が最大のボトルネック |
| 不動産 | Lv1.9 | 38点 | 個人利用は進んでいるが、組織化が遅れている |
| 士業(税理士等) | Lv2.0 | 40点 | 記帳のAI化が進み始めているが、ガバナンスが未整備 |
| 小売・飲食 | Lv1.5 | 32点 | POSデータという資産を活かしきれていない |
| 医療 | Lv1.7 | 35点 | 法規制の壁が参入障壁に。ガバナンス軸が特に低い |
出典:生成AI総合研究所の支援実績および公開データを基に推定(2026年5月時点)
注目すべきポイントは、IT業界でさえ平均Lv3.2にとどまっていることです。「IT企業ならAIを使いこなしているはず」という印象がありますが、実態は「技術者がChatGPTを使っている」(技術軸が高い)一方で、「経営戦略にAIが位置づけられていない」(戦略軸が低い)というアンバランスな状態です。
製造業は、検品データや生産管理データが整備されている(データ基盤軸が比較的高い)ため、AI活用のポテンシャルは高い業界です。弊社が支援した金属加工メーカーでは、既存の検品データを活用してAI検品を導入し、精度95%→99.2%という大幅な改善を実現しました。データがあれば、AI活用は加速します。
建設業と小売・飲食が特に低スコアになるのは、業務のデジタル化がAI以前の課題になっているからです。見積書がExcelや紙に散在している、POSデータが分析可能な形で蓄積されていない——こうした「AI以前の壁」を越えることが、AI活用の第一歩になります。
「自己認識ギャップ」の典型パターン——よくある誤解を解く
「社長がChatGPTを使っているからLv3」は間違い
前述の通り、Lv3の基準は「組織として」AIを活用していることです。社長1人がどんなに使いこなしていても、組織としてのAI活用にはなりません。判断基準は「社長が退職しても、AI活用は続くか?」です。続かないのであれば、それは「個人利用」(Lv2)です。
「AIツールを5つ入れているからLv4」は間違い
ツールの数はレベルを決めません。5つのAIツールを導入していても、それぞれが「試してみただけ」で業務フローに組み込まれていなければ、Lv2止まりです。逆に、ChatGPT 1つだけでも、それが全社の業務フローに組み込まれ、ガイドラインも整備されていれば、Lv4に近い状態と言えます。
「DX推進室を設置したからLv3」は間違い
組織体制を整えただけでは、実際の活用が進んでいるとは限りません。DX推進室があっても、推進室のメンバーがAIを使えていなければ意味がありません。弊社の支援先でも、「DX推進室が発足したが、メンバー全員が『AIって何ですか?』状態」というケースがありました。体制の整備(組織・人材軸)と実際の活用(技術軸)は別物です。
コストと補助金——診断から次のアクションまでの費用
AI活用成熟度の診断自体にコストはかかりません。20問の自己診断シートを使えば、10分で無料で実施できます。コストがかかるのは、診断結果に基づく「次のアクション」です。
| レベル | 推奨アクション | 費用目安 | 活用できる補助金 |
|---|---|---|---|
| Lv1→Lv2 | ChatGPT無料版で1人が体験 | 0円 | — |
| Lv2→Lv3 | 個別ハンズオン研修(3〜5名) | 10〜20万円 | 人材開発支援助成金(75%助成)→実質2.5〜5万円 |
| Lv3→Lv4 | 全社研修+ガイドライン策定 | 50〜100万円 | 人材開発支援助成金+IT導入補助金 |
| Lv4→Lv5 | フラクショナルCAIO契約 | 月30〜80万円 | — |
出典:生成AI総合研究所の支援実績を基に作成
特にLv2→Lv3の移行は、人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)を活用すれば、研修費用の75%が助成されます。研修費10万円なら実質負担2.5万円です。補助金の詳細はAI補助金完全ガイドをご参照ください。
導入事例——Lv1からLv3に半年で到達した企業
Before(AI活用成熟度診断時:Lv1)
ある金属加工メーカー(従業員25名)は、初回相談時のスコアが28点(Lv1)でした。
- 戦略軸:5点(AI戦略なし、予算なし)
- データ基盤軸:8点(検品データはあるが紙ベースが多い)
- 組織・人材軸:4点(AI担当者なし、社長だけがChatGPTの存在を知っている)
- 技術軸:6点(AIツール未導入だが、社長がChatGPT無料版を2回使ったことがある)
- ガバナンス軸:5点(ルールなし)
After(6ヶ月後の再診断:Lv3)
半年間の支援後、スコアは56点(Lv3)に向上しました。
- 戦略軸:12点(AI活用方針を文書化、Q1-Q4のロードマップを策定)
- データ基盤軸:11点(検品データのデジタル化を実施)
- 組織・人材軸:12点(AI研修を実施、AI担当者を指名、5名がChatGPTを日常利用)
- 技術軸:12点(ChatGPT Plus×5名、見積AI化が業務フローに定着)
- ガバナンス軸:9点(ChatGPT利用ルールを策定、品質チェック体制を整備)
6ヶ月で28点→56点、Lv1→Lv3への移行を実現しました。最大の変化は組織・人材軸で、研修後に社員のAI活用率が0%→60%に跳ね上がったことです。
失敗パターンと回避策
いきなりLv4を目指す
「全社でAIを使いたい」という意欲は素晴らしいのですが、Lv1の企業がいきなりLv4を目指すと失敗します。全社ガイドラインを策定しても、そもそもAIを使える社員がいなければガイドラインは形骸化します。Lv1→Lv2→Lv3→Lv4と段階的に進むことが成功の鉄則です。
診断だけして「次のアクション」を取らない
診断は手段であり、目的ではありません。「うちはLv2でした」で終わると何も変わりません。診断結果が出たら、同日中に「次の一歩」を決め、1週間以内に着手することが重要です。
半年後の再診断を忘れる
初回の診断で現在地を把握しても、半年後に再診断しなければ、改善が進んでいるかどうかがわかりません。半年ごとのPDCAサイクルで診断→アクション→再診断→次のアクションを繰り返すことが、着実にレベルを上げる方法です。
まとめ:まず診断シートに20分だけ向き合う
AI活用成熟度診断は、「自社のAI活用はどの程度か」「同業他社と比べてどうか」「次に何をすべきか」の3つの問いに答えるためのツールです。
中小企業の8割がLv1〜2に位置しているのが現実です。しかし、裏を返せば、Lv3に到達するだけで上位2割に入れるということです。Lv3への到達に必要な期間は約半年、コストは人材開発支援助成金を活用すれば実質数万円です。
今日やるべきことは1つ。この記事の20問に回答し、自社のスコアを算出することです。10分でできます。スコアが出れば、「次にやるべきこと」が見えます。
診断結果を基に具体的なアクションプランを策定したいという方は、生成AI総合研究所の無料ウェビナーにご参加ください。
AI導入の全体設計は業務効率化にAIを使う方法2026で、AI導入に使える補助金はAI補助金完全ガイドで解説しています。
✦ AI活用の無料診断 ✦
自社のAI活用レベル、
一緒に診断しませんか?
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出典・参考:
– 中小企業基盤整備機構「中小企業のAI導入・活用状況調査」(2026年3月)
– IPA「DX推進指標 自己診断結果分析レポート」(2025年度版)
– 生成AI総合研究所 AI活用成熟度フレームワーク・支援実績データ
※本記事の情報は2026年5月時点のものです。
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