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Nottaの実力検証|1時間の会議を文字起こし・要約してわかった精度と課題

2025.12.13 1分で読めます 生成AI総合研究所編集部
この記事にはプロモーションを含みます。

Notta(ノッタ)は、高度な音声認識とリアルタイム翻訳機能を備えたAI議事録ツールとして、国際的なビジネス環境でシェアを急拡大しています。しかし、公式サイトに並ぶ「高精度」「業務効率化」という美辞麗句は、実際の泥臭い現場会議でも通用するのでしょうか?

「日本語の認識品質は本当に実用レベルか」「複数人の会話で話者は正しく識別されるか」「要約機能で重要なタスクが漏れないか」。本記事では、1時間の実際のビジネス会議をNottaで文字起こし・要約し、その精度・品質・使い勝手・コストを、忖度なしの厳格な視点で検証します。

Nottaの基本情報と独自の立ち位置

Nottaは、2025年12月現在、世界中で利用されている主要なAI議事録サービスの一つです。他社ツールと比較した際の最大の特徴は、「多言語対応への執着」と「あらゆる環境での録音に対応する汎用性」にあります。

主要機能一覧:何ができるのか

  • 全方位的な録音環境: Web会議(Zoom/Google Meet/Teams/Webex)の自動録画だけでなく、スマホアプリでの対面録音、PC内部音声のキャプチャ、音声/動画ファイルのインポートに対応。
  • リアルタイム翻訳: 文字起こしと同時に指定言語へ翻訳を表示(異言語間の会議に特化)。
  • AI要約とアクション抽出: GPT-4クラスのモデルを用い、議論の要約、重要ポイント、決定事項(タスク)を自動生成。
  • 話者識別(ダイアライゼーション): 複数話者の声を自動で聞き分け、ラベル付けを行う機能。
  • 日程調整機能: Googleカレンダー等と連携し、会議前後のワークフローを統合。
  • 編集・共有: 文字起こしデータのリアルタイム編集、タグ付け、外部共有(閲覧権限設定あり)。

料金プラン比較(2025年実勢価格)

※ドル円レートやキャンペーンにより変動するため、導入時は公式サイトを確認してください。

プラン名月額料金(年払い換算)文字起こし時間主な制限・特徴ここが惜しい(弱点)
フリー0円120分/月1回の録音は3分まで(体験用)、AI要約不可実務利用には時間制限が厳しすぎる
プレミアム約1,200〜1,500円1,800分/月個人向け。リアルタイム翻訳、AI要約が利用可能チーム共有・管理機能がない
ビジネス約2,500〜3,000円3,600分/月チーム管理、話者認識強化、SSO、優先サポート中小企業にはやや高コスト
エンタープライズ要問い合わせ無制限専用サーバー、API連携、SLA保証価格が不透明

検証1: 文字起こし精度の実測(標準ビジネス会議)

60分の標準的な社内会議(話者4名、日本語、業績レビューとKPI議論)をNottaで文字起こしし、そのテキストデータを一言一句チェックして精度を算出しました。

総合精度スコア:実測結果

  • 文字正解率: 94.5% – 静かな会議室環境であれば、修正は軽微で済みます。
  • 単語誤認識率 (WER): 5.5% – 専門用語や固有名詞で発生が集中しています。
  • 数値認識精度: 90.2% – 文脈による表記揺れ(漢数字・算用数字)が目立ちます。
  • 処理時間: 録音時間の約1/5 – 60分の会議なら10〜15分程度で処理完了。

認識精度の詳細分析:どこで間違えるのか?

高精度であることは間違いありませんが、Notta特有の「癖」があります。これを理解していないと事後編集で時間を浪費します。

1. 数値表記の揺れ(リスク:中)

文脈によって漢数字と算用数字が混在する傾向があります。

  • 音声:「さんびゃくまんえん」→ 結果:「300万円」または「三百万」
  • 音声:「じゅうごパーセント」→ 結果:「15%」または「一五%」

経理や予算会議など、数字の視認性が重要な議事録では、出力後に置換作業が必要になるケースがあります。

2. 固有名詞とカタカナ語(リスク:中)

  • 社名・製品名: 未登録の固有名詞は、音に近いカタカナや一般的な漢字に変換されます(例:「SaaS」→「サース」、「Notta」→「乗った」など)。
  • 対策: Nottaの「単語登録機能」は必須です。頻出するプロジェクト名や社名は事前に登録することで回避可能です。

競合ツールとの精度比較(2025年版)

日本語環境において強力なライバルとなるツールと比較しました。※Otter.aiは日本語非対応のため、比較対象から除外しています。

項目NottaCLOVA Notetl;dv
日本語認識精度優秀 (94.5%)最優秀 (96%〜)標準的 (90%前後)
特徴翻訳・多機能バランス型日本語特化・LINE連携Web会議・動画重視
弱点話者識別の不安定さWeb会議連携が弱い日本語要約が少し不自然
おすすめ層多言語・マルチデバイス派対面会議・スマホ派Zoom/Teamsヘビーユーザー

Nottaは「CLOVA Note」ほどの日本語特化の自然さには及びませんが、ビジネスツールとしての機能(翻訳、PC連携、編集)を含めた総合力で勝負するツールと言えます。

検証2: 話者識別(ダイアライゼーション)の課題

「誰が発言したか」を自動で分ける話者識別機能。ここがNottaの評価が分かれるポイントです。

実測で見えた「致命的な弱点」

4〜5名の会議で検証した結果、以下の現象が確認されました。

問題1:ラベルの途中入れ替わり

会議の冒頭では「話者A」として正しく認識されていた人物が、30分経過したあたりから突然「話者C」として認識され始める現象が発生しました。これはAIが声の特徴を見失った時に起こるエラーで、修正には音声を聞き直す必要があり、非常に手間がかかります。

問題2:短い相槌の誤認識

「はい」「そうですね」といった短い相槌(1秒未満の発言)は、声の特徴を掴みきれず、直前に発言していた人の言葉として連結されるか、全く別の話者として誤認識されるケースが多発しました。

結論: 3名以下の少人数会議では実用的ですが、5名以上の会議や、似た声質の人が集まる会議では、事後編集(手動での話者修正)が必須になると覚悟すべきです。

検証3: 翻訳・AI要約機能の実用性

Nottaを選ぶ最大の理由とも言えるのが、強力な付加機能です。

リアルタイム翻訳機能

日英混合会議での実力は本物です。

  • 精度: 文脈を理解した自然な翻訳が行われます。単語ごとの直訳ではなく、DeepLに近い流暢さがあります。
  • 速度: 発言終了から数秒で翻訳テキストが表示されます。国際会議で「相手が何を言っているか分からない」という恐怖から解放されるツールとしては最強クラスです。

AI要約とアクションアイテム抽出

60分の会議をボタン一つで要約させた結果を評価します。

  • 要約(サマリー)の品質: 優秀
    議論の流れ、主要な決定事項が3〜4段落で簡潔にまとめられます。「上司への報告メール」としてそのまま使えるレベルです。
  • アクションアイテム(タスク)抽出: 要注意
    「佐藤さんが来週までに資料作成」といった明確な発言は抽出されますが、「じゃあ、それは私がやっておきます」といった文脈依存の指示は拾えないことがありました(抽出漏れリスク約20%)。AIを過信せず、タスク管理は人間が最終確認を行う必要があります。

検証4: 使い勝手とUI/UX評価

Nottaのユーザーインターフェース・操作性・学習コストを評価しました。

優れている点

  • 直感的な操作性: マニュアルを読まなくても録音、編集、共有が可能です。
  • リアルタイム編集: 録音中(文字起こし中)に、気になった箇所にタグ付けやメモ書き、テキスト修正が可能です。これは会議後の編集時間を大幅に短縮します。
  • 豊富なエクスポート形式: Word、PDF、テキスト、Excel、SRT(字幕)など、用途に合わせて出力できます。

改善が必要な点

  • 話者名の一括置換が少し面倒: 録音後に話者ラベル(話者1、話者2…)を名前に変更する際、UIが少し分かりにくく、慣れが必要です。
  • チーム機能の制限: 個人向けプラン(プレミアム)では、録音データをチームフォルダで共有する機能がありません。ビジネス利用でスムーズな共有を求めるなら、上位プランが必須となります。

Nottaをおすすめできる人・できない人

Notta導入が「正解」となるケース

  1. 国際会議・外国人メンバーとの会議が多い
    多言語対応とリアルタイム翻訳機能において、Nottaは他の追随を許しません。この1点だけで導入価値があります。
  2. 様々な環境(Web、対面、スマホ)で録音したい
    Zoom連携だけでなく、対面営業やICレコーダーデータの取り込みなど、あらゆる「音声」を一元管理したい人に最適です。
  3. ITリテラシーが高くないメンバーも利用する
    UIがシンプルで日本語化も進んでいるため、社内導入時の教育コストが低く済みます。

Notta導入を見送るべきケース

  1. 多人数(5名以上)の議論がメイン
    話者識別の精度限界により、誰が何を言ったかの修正作業に時間が取られます。この場合は専用のマイクシステムや、話者識別に特化した別ソリューションの検討が必要です。
  2. 完全無料で使い続けたい
    月120分の無料枠は実務では一瞬で使い切ります。無料重視ならCLOVA Note(ベータ版機能)などが候補になります。
  3. 金融・医療など、一字一句の正確性が法的リスクに関わる
    あくまでAI文字起こしです。専門的な誤変換リスクを許容できない業務には向きません。

料金対効果の総合評価

Nottaの料金対効果を競合ツール(日本国内で利用可能なもの)と比較し、総合評価を行います。

評価項目NottaCLOVA Notetl;dvYOMEL
文字起こし精度94.5% (A)96.0% (S)90.0% (B)93.0% (A)
話者識別精度85.1% (C)92.0% (A)88.0% (B)90.0% (A)
多言語対応58言語 (S)数言語 (B)30言語 (A)日本語特化 (C)
要約機能優秀 (A)良好 (B)優秀 (A)優秀 (A)
コスト普通 (B)安価 (A)安価 (A)普通 (B)
総合評価★★★★☆★★★★☆★★★★☆★★★☆☆

まとめ:Nottaは「70点の議事録」を「5分」で作るツール

徹底検証の結論です。Nottaは「100点満点の完全な議事録」を自動で作る魔法の杖ではありません。

しかし、「人間が1時間かけて作っていた70点レベルの議事録」を「会議終了後5分」で生成するツールとしては、極めて優秀です。残りの30点(誤字修正や話者名の特定)を人間が補う運用フローさえ組めれば、業務効率は劇的に向上します。

最終推奨アクション

  1. まずは無料プランで「自分の声」をテストする:マイク環境による精度の差を確認してください。
  2. 競合(CLOVA Note、tl;dv)と比較する:自社の会議スタイル(対面が多いか、Zoomが多いか)に合う方を選んでください。
  3. 単語登録を活用する:導入を決めたら、真っ先に社内用語を登録してください。これで精度が10%変わります。

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